放射線治療について
平成26年11月4日から最新型放射線治療システム(リニアック)ELEKTA社製ELEKTA Synergy1台を導入して診療を行っています。従来型と違いリニアックのガントリ部にkV-X線撮影装置を実装してCT画像を撮影できるX-ray Volume Imaging(XVI)を装備したイメージガイド放射線治療(IGRT)用リニアックです。
1台のリニアックでX線エネルギー3種類(4MV・6MV・10MV)の放射線と電子線エネルギー3種類(4Mev・6Mev・10Mev)を使い分け、様々な症例に適したエネルギーを利用することによって柔軟に対応できます。
XVIはコーンビーム技術による3次元のCT画像の撮影ができ、照射直前にCT撮影を行い、治療計画CTとフュージョンさせて6軸方向に移動可能な寝台を動かすことにより、的確に腫瘍だけに高エネルギーX線を照射します。従来は確認が困難であった軟部組織まで判別できるため、より正確な位置決めによる治療が可能になります。
XVIの連続透視撮影を行い、臓器の位置がリアルタイムに表示される機能が標準で装備され、腫瘍の位置を確認しながらの照射が可能となりました。特に呼吸により位相が大きい胸部や上腹部の疾患の治療に威力を発揮します。
さらに、最新のマルチリーフコリメータ(MLC)であるAgilityはアイソセンター面において5mm幅の160枚のリーフを備え、腫瘍の形状に合わせることが可能となり、正常組織への被曝を限りなく少なくすることができます。また、一般的なMLCの約2倍の高速なリーフスピードと極めて低いX線のリーフ透過率を実現し、治療の可能性をさらに拡げます。患者さんの安全性と快適性を優先しながら、より高度で効率的な先進治療の実施を後押しします。先進治療であるVolumetric Intensity Modulated Arc Rherapy(VMAT)に対応しており、ガントリを回転させながら、MLC・照射ヘッド・バックアップコリメーター・線量率をダイナミックに動作させ、ガントリ回転速度と線量率の変化によって強度変調を行います。従来の強度変調放射線治療(IMRT)に比べ短い照射時間でターゲットに限局した治療が可能なため、スループットが向上し余分な被曝も低減できます。
呼吸を制御・同期する機器を導入して、これまでより照射中の呼吸による臓器の移動情報の管理が正確で容易になります。
放射線治療計画装置MonacoとAgility搭載の放射線治療機器の組合せの機器構成です。さらに脳転移に対する脳定位放射線治療については専用のソフトウェアを駆使して積極的に行っていきます。
これまで以上に質の高い放射線治療を提供するとともに、地域の医療機関と連携して地域がん医療水準の向上に努めます。
温熱療法
がんの部位を水風船のようなパットで挟み、高周波(ラジオ波)を当てます。がんは正常細胞より熱に弱く、42.5℃以上で死滅することを利用した治療です。他のがん治療を併用することによって治療効果がさらに高まります。非侵襲的で体に優しい治療です。ただし、体内に金属のある方は治療を行えない場合があります。