お知らせ 『看護職員等からの体験談』最優秀賞、特別賞を受賞しました

病院情報

毎年5月12日をフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ「看護の日」とし、その日を含む1週間を「看護週間」とされています。
5月11日(土)富山県看護協会主催 第34回看護の日事業『看護職員等からの体験談』の表彰式で、当院看護師の2名が受賞いたしました。

最優秀賞 松井美揮子さん

特別賞 水上葉月さん(写真右)

二人の患者さんとのかかわりを通じて、学び、看護への思いを深め、気持ちを新たにより看護に取り組んでいこうとする思いが伝わってきます。

最優秀賞 大切にしていきたいこと

松井 美揮子(まつい みきこ)

「あの、看護師さん爪切りお願いします」。休日とはいえ、たくさんの入院患者さんからの鳴りやまないナースコール、そのケアの多さで1年目の私には余裕がなかった。「あとでまた伺います!」。メモに「爪切り」と走り書きした。

患者さん一人一人の要望に向き合いたい気持ちはやまやまだが、優先順位を考えて申し訳なさを感じながら答えた。午後になって業務が落ち着き、ようやく終わりが見えてきたころ、走り書きを見て爪切りのことを思い出した。患者さんの部屋に行き、「爪を切りに来ました。遅くなってごめんなさい。」と言うと、患者さんはすごく安心したような表情をしていた。

その爪を見たときハッとした。分厚く伸び切った爪。私はこれに気付かなかったのか。少し暗い顔で爪を切っていると、患者さんが「覚えていてくれてありがとう。」と小さな声でつぶやいた。私が余裕のない姿を見せたから、待っている間本当に私が来るか不安だっただろう。看護師になって9ケ月、自分の看護が患者さんの思いに繋がっているのか実感が持てないままだった。けれどこの一言を聞いてやっと繋がったような気がした。

私は患者さんを待たせてしまうことがたくさんある。患者さんの目線、表情、環境、何か言いたそうにしていないか、今の私はそれに気付く余裕がないかもしれない。「ああすればよかった」と家に帰って後悔することの方が多い。それでも大切にしていきたいことは患者さんとの約束を守ることだ。1番近くにいる看護師が信頼される関係でいなければならないと、この日に強く思った。その信頼を築いていくために患者さんと目を合わせながら、私は当たり前に小さな約束をする。

「また伺います!」

特別賞 業務ではなく看護を

水上 葉月(みずかみ はづき)

看護師として半年ほど働いたときに、ふと学生の時より患者さんと話す時間が少なくなったと思った。慣れない業務に加え、分からないことが多くて勉強に追われているうちにそうなってしまっていた。そんなとき、緩和ケア病棟に転棟(てんとう)される患者さんに思いを聞く機会があり、私は久しぶりに座って患者さんと話すことができた。

その患者さんとは長く接してきていたが、その時初めて患者さんの思いを聞いた。「自宅に戻って身の回りの整理をしたい」「ドナーにはなれるのだろうか」「痛みは少なく過ごしたい」など、患者さんの言葉はあふれるように次々と出てきた。私は一つ一つの言葉にうなずくことしかできなかったが、最後には「こんなに話すことができてすっきりした。ありがとうね。」と言われた。

その言葉を聞いたとき、私は泣きそうになってしまった。患者さんはこんなに思いを持っていたのに。私は今まで気付くことができなかったのかと悔しさでいっぱいになった。私がもっと早く話す時間を取れていたら、患者さんの気持ちを軽くできていたのにと考えてしまった。

看護師として働いているうちに、日々が業務だけで終わることもたくさんあった。しかし、業務を終わらせることを目標にするのではなく、患者さんに寄り添った看護を提供することを目標にしなければならないと思い出すことができた。看護師として、免許を持って働いているからには、患者さんにとって利益となるような看護の働きができたらいいなと思う。まだまだ慣れないことが多く、患者さんとたくさん話す時間を取ることは難しいけれど、患者さんを第一に考えて、日々患者さんとの「会話」を増やしていきたい。