2024年11月8日(金)に福井大学特命教授の寺澤秀一先生にお越しいただき、症例検討会を行いました。
研修医2名が一例ずつ救急外来で経験した症例を発表し、寺澤先生がそれぞれの症例に沿って、主訴や症状からの鑑別や問診・身体所見のとり方のポイントなどを分かりやすくレクチャーしてくださいました。
1症例目は心窩部痛で救急搬送され、救急隊から心電図でST変化を認めるとの事前情報のあった患者さんでした。心電図では非特異的な広範なST低下を認め身体所見では上腹部に板状硬を認めました。そこでは心電図のST変化が血管領域に沿うことが急性冠症候群を疑う上で重要であること、上腹部痛における痛みの程度の分け方と伝え方、またそれぞれの鑑別を教わりました。結果的にこの患者さんは消化管穿孔を引き起こしていたのですが、その際に胸部X線で診断することもできることも教わり、身体所見、検査所見の評価の仕方について知見を広げることができました。
2症例目は、誤嚥性肺炎疑いで紹介され、炎症反応の高値を認めましたが、酸素化は良好で全身状態も悪くなかったため、外来でフォローする方針となった症例でした。我々研修医はどうしても検査所見などで派手な結果があるとそれに引っ張られがちな部分がありますが、第一印象、身体所見や患者さんの希望などを複合的に観察し、治療にあたることが大事だと改めて学ぶことができました。
どちらの症例でも、寺澤先生はその現場での対応、改善点、研修医の立場でも対応可能な範囲でできることを具体的に教えてくださいました。実際に救急外来でそのような振る舞いができるよう、再度教わったことを反芻し、今後に活かしていきたいと思いました。
救急対応で生じる疑問について、実際の症例に沿って解説していただき、実践的な知識を身につけることができました。寺澤先生、素敵な時間をありがとうございました。