医療安全対策室について

医療安全対策室について

医療安全対策室のご紹介

当院の医療安全対策室は、医療安全管理部及び医療関連感染管理部の2部門で推進されています。患者中心の安全で質の高い医療を提供するために、安全管理に関する責任体制や役割分担を明確にすると共に病院全体で組織横断的に安全管理を徹底し、医療事故防止や院内感染防止に取り組むことを安全対策室の理念としています。

医療安全管理部

医療安全管理部 挨拶

責任者 副院長 西村俊郎

私は2018年4月から当院の医療安全専任医師を担当しております。就任当初医療安全に携わるものの心構えを記した書物を何冊も読んだことを思い出します。なかでも心に残った言葉は以下のような内容でした。「医療安全には始まりも終わりもなくゲリラ戦のように日々医療事故は発生する。それに誠実に対応することしかない。」今5年余りが経過して、この言葉のもつ意味をしみじみと感じています。

多くの医療者は病気や障害に苦しむ患者さんに寄り添い、その苦しみが和らぐことで共に喜びを分かちあっています。しかし高度に複雑化した現代の医療において、治療行為や療養の過程を安全に実施することは必ずしも容易ではありません。善かれとおもって意図したことが、逆に患者さんにとって不利益と苦痛をもたらすことになる可能性は多くの場面に潜んでいます。そのような出来事は患者さんと家族にとって重大な出来事となるばかりでなく、患者さんのために努力しようとした医療者にとっても非常に悲しいことです。医療における理解可能な丁寧な説明と選択肢の提示の上での患者さんの主体的な同意がいかに重要かあらためて認識させられます。

患者さんを医療の中心に据えた安全な医療は、我々厚生連高岡病院で働くすべての医療人の願いです。医療は患者さんが中心のチームの中で行われることを忘れず、チームワークトレーニングを重視した不断の医療安全活動を継続いたします。当院ではさまざまな改善活動も継続的におこなわれております。医療者が患者さんに危険がせまった場合のインシデント報告も活発に提出され、それを分析検討し改善に生かしています。職員一同が患者さんのことを大切に思い正しいことが正しく行われる正義の文化が何よりも大切であることを心に刻み、患者さんと一緒に安全な医療を行いたいと思っています。皆様からの暖かくも厳しい応援を励みとして安全な医療を目指して努力いたします。

2023年8月

基本的な考え方

安全な医療の提供は医療の基本であり、医療安全の必要性、重要性を病院全体及び職員個人の課題と認識する。医療安全管理委員会及び医療安全管理室、医療安全推進部会を設置して、医療安全管理体制の確立ならびに強化充実を図り、安全な医療の遂行を最優先する。

医療安全管理部の活動内容

医療安全管理部は、医療安全推進部会と連携・協同し、院内全般にかかる医療安全対策の立案・実行・評価を含め医療安全管理のため組織横断的な活動を行っています。

1.医療安全管理部の業務内容
  • 医療安全管理委員会の庶務等に関すること
  • 事故等に関する診療録等に記載の確認及び指導に関すること
  • 事故発生時の対応状況の確認及び指導に関すること
  • 事故等の原因究明の実施の確認及び指導に関すること
  • 医療安全に係わる連絡調整に関すること
  • 医療相談の相談情報に医療安全対策への活用に関すること
  • 医療安全リンクスタッフ委員会の運営
  • その他医療安全対策の推進に関すること
2.管理部内の各役割

1)医療安全担当副院長(専任医師)の役割

医療安全管理部、医療安全推進部会において院長、医療安全管理者と協働、補佐し以下の業務を行う。

  • インシデント、アクシデントレポートの内容を把握して分析し重要な事象については 原因分析等をおこない医局会等で速やかに医師に周知を行う。
  • 医療事故発生時で医療事故調査制度に基づく報告が必要な場合は、その報告のため 事故の発生原因の調査と分析を行う。この制度による報告が必要でないと判断される 場合M&Mカンファレンスを開催し原因究明と再発防止策を検討する。
  • 医師や、院内医療スタッフへの教育活動をおこなう。そのために常に外部の情報に 留意して自分自身の研鑽にもつとめる。
  • 地域の連携病院への相互ラウンドに参加して積極的に医師としての所見を述べる。 院内ラウンドにも積極的に参加する。
  • 院内での医療事故発生時は、必要に応じて速やかに対応し患者や患者家族のみ ならず、医師や医療スタッフへの対応、援助を行う。

2)医療安全管理者

責務と権限

  • インシデント・アクシデント報告書の収集と分析管理を行うこと
  • 事故防止対策の実施と周知徹底、現場への還元、効果への検証を行うこと
  • 職員安全教育の計画、実施すること
  • 医療安全推進マニュアルの管理を行うこと
  • 医療安全に関する情報処理と職員への情報発信に行うこと
  • 医療安全の立案、実行、評価を含め医療安全管理の為、組織横断的に活動し医療安全体制の構築を行う
  • 医療事故発生時の対応を行う

業務

  • 安全管理部門の業務に関する企画立案及び評価を行う
  • 定期的に院内を巡回し各部門における医療安全対策の実施状況を把握・分析し、医療 安全確保のための業務改善計画書を作成し、それに基づく医療安全対策の実地状況 及び評価結果を記録する。
  • 各部門におけるリスクカンファレンスに参加し、マニュアル遵守の評価、改善、 職員間の調整を通してリスクマネージャーへの支援を行う。
  • 医療安全対策の体制確保のために、インシデント・アクシデントレポート報告書の 収集と分析管理を行い、各部門との調整を行い、事故防止対策の周知徹底を図り、 改善策の現場への還元、効果の検証を行う
  • 医療安全対策に係る取り組みの評価等を行うカンファレンスを週1回程度開催する。
  • 構成員は医療安全推進部会の委員及び必要に応じて各部門の医療安全管理担当者からなる。
  • 医療安全対策に係る体制を確保するために、職員研修を企画・実施する。
  • 医療安全推進部会において事例や議題を提出し対策や検討を行い、各部署との連携 状況を記録する。
  • 医療安全管理委員会と連携をはかり、重要な案件や改善策の検討を行い記録する
  • 重要事故事例の調査報告を行う
  • 医療安全管理者としての活動実績を記録する
  • 医療安全に関わるマニュアルの作成と見直しを行う
  • 医療安全に関わる情報管理と職員への情報発信する
  • 患者相談窓口の担当者と連携を取り、医療安全対策に係る患者・家族の相談 (医療相談)に適切に対応し活動内容を記録する。
  • 院外の事故事例、また、安全関連(メーカー)情報収集、活用する
  • 研究会、研修会への参加を行う
  • 医療安全に関する地域の医療の推進を行う

3)医薬品安全管理責任者

医薬品安全管理責任者は、医療安全管理部の専任者として医療安全管理部における医薬品 部門を担当する。

業務

医薬品安全管理責任者は、病院長の指示のもと次に業務を行う

  • 医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の作成
  • 従事者に対する医薬品の安全使用のための研修の実施
  • 医薬品の業務手順書に基づく業務の実施
  • 医薬品の安全使用のために必要となる情報の収集その他の医薬品の安全確保を目的とした改善のための方策の実施

4)医療機器安全管理責任者

院長は医療法の改正(平成19年4月1日)により医療機器の安全使用を確保するための責任者を設置する。医療機器安全管理責任者は、医療機器安全管理担当者と連携を図り、医療安全管理部における医療機器部門を担当する。医療機器安全管理担当者は、ME関連機器安全管理担当者と放射線関連安全担当者とする。医療機器の適切な使用方法、保守点検の方法等、医療機器に関する十分な経験及び知識を有する常勤職員であること。

1)ME関連機器安全管理担当者 臨床工学士 業務内容

  • 従事者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施
  • 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施
  • 医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集、その他の医療機器の安全を目的とした改善のための方策の実施、医療機器による不具合等の報告

「独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)」

2)放射線関連機器安全管理担当者 放射線技師 業務内容

  • 従事者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施
  • 保守点検に関する計画の策定及び保守点検の実施
  • 医療機器の安全使用のための情報収集と安全使用を目的とした改善のための方策の実施

5)医療放射線安全管理責任者

平成31年3月11日に、医療法施行規則の一部改正する省令が厚生労働大臣名で公布され、診療用放射線に関する安全管理のための体制確保として、安全利用のための責任者である放射線安全管理責任者を設置する。放射線安全管理責任者は、診療放射線の安全利用の為の指針に基づき、放射線安全管理とこれらに関する研修を実施する。

6)看護師

医療安全管理部内に看護部医療安全教育連絡会の看護師数名が兼任となり、 医療安全管理部の業務を行う。

医療安全管理部の専任医師、専任薬剤師専従看護師が連携して病院内発生したインシデント・アクシデントについて主に検討し医療安全カンファレンス議題や周知事項について協議する会を週1回程度開催する会への参加や、病院内の医療安全活動を行う。

7)医療安全リンクスタッフ委員会

医療安全管理部との連絡を取る医療安全リンクスタッフグループを設置し、医療安全に関する品質管理活動(QC活動)や周知活動を行う。

(令和2年3月18日改訂)

医療関連感染管理部

当院は、倫理的で安全な医療を提供するため患者・家族・学生・職員を対象に、感染症・感染制御の専門的知識を有する医師や薬剤師等のコアメンバーで医療関連感染を防止する実践的な活動を行う感染制御チーム(ICT)及び抗菌薬適正使用支援チーム(AST)を組織しています。

基本的な考え方

  • すべての患者が感染症を保持し、かつ罹患する危険性をあわせ持つと考えて対応する「標準予防策」を実践する。
  • 院外の感染症情報を広く収集し、院内においてはサーベイランス等で平時からの感染推移を注視しながら、感染症発生時に迅速に対応する。
  • 全部署及び全職員が医療関連感染対策活動を標準的に実践することを目的に、職員研修やラウンド、院内感染対策マニュアルを配置し、院内共通の課題として積極的な取り組みを行う。
  • 患者・家族・職員・学生等に感染症の流行がみられる場合には、院内に情報提供を行い、予防策の啓発を行う。
  • 地域や連携する病院と情報交換やラウンド評価を行い、地域全体の医療関連感染対策のより一層の推進を目指す。
  • 感染症医師・看護師・薬剤師・検査技師・事務員で構成される抗菌薬適正使用支援チーム(AST)を組織し、感染症診療の向上・サーベイランス・地域への教育や啓発そして感染対策を行い、感染症管理体制の整備を目指す。

組織体制

院内感染対策組織図

チーム医療

コアメンバーでチームを形成し、日々医療関連感染対策に取り組んでいます

実働メンバー紹介

職種 氏名 領域 資格
医師(兼任) 狩野惠彦 感染制御
感染症内科
医師
日本内科学会 内科認定医
日本内科学会 総合内科専門医
日本老年医学会 老年病専門医
日本感染症学会 感染症専門医
ICD制度協議会認定
Infection Control Doctor
米国内科専門医
米国老年医学専門医
米国感染症内科専門医
東 慶之介 感染制御
感染症内科
循環器内科
医師
日本内科学会 内科認定医
日本内科学会 循環器内科専門医
薬剤師
(兼任)
船本哲生 抗菌化学療法 薬剤師
抗菌化学療法認定薬剤師(IDCP)
感染制御認定薬剤師(BCPIC)
薬剤師
(兼任)
辻 未希子 抗菌化学療法 薬剤師
感染制御認定薬剤師(BCPIC)
臨床検査技師
(兼任)
中河竜也 微生物 臨床検査技師
認定微生物検査技師
感染制御認定微生物検査技師(ICMT)
浦田孝之 微生物 臨床検査技師
看護師
(専従)
浦上恵里 感染管理 看護師
感染管理認定看護師(ICN)
看護師
(専任)
廣野和子 感染管理 看護師
感染管理認定看護師(ICN)
看護師
(兼任)
窪田恵子 感染管理 看護師
感染管理認定看護師(ICN)

(2021.4.23 更新)

主な活動

  • 1回/月 定例会を開催

    定例会ではラウンド、微生物の分離状況、抗菌薬の使用状況、感染症の発生状況、サーベイランス等対策や活動の報告や検討を行なっています。

  • 院内感染対策マニュアルの作成・改訂

    定期的及び必要時見直しを行い、感染対策マニュアルの遵守に努めています。

  • サーベイランスの実施

    医療関連感染の発生状況についてサーベイランスを行っています。

  • 教育

    病院職員の感染対策に関する意識向上を図るため、感染対策に関する研修を年2回以上行っています。また、必要に応じて職種別に研修を実施しています。

  • ラウンド

    医療関連感染対策の状況把握、抗菌薬の適正使用、職員の感染防止等のラウンドを行うことで、医療関連感染の防止を目指しています。

  • 地域連携病院との相互評価

    カンファレンス・ラウンドを行い、相互に感染防止対策の体制を評価しています。また、クリニック等において感染対策訓練・抗菌薬適正使用の情報共有及び助言を行っています。

感染対策・抗菌薬適正使用等でお困りのことがありましたら、いつでも相談ください。